ティーエス・プロのサイトリニューアル


編集長インタビュー

~ビジョンと強みを体現したホームページ刷新~
メーカーとエンドユーザーの間に立ち
アフターサービスで感動を呼び起こしたい

オーディオ機器や家電などの電気製品を対象に、修理やメンテナンスなどのサポートを行うティーエス・プロ。メーカーとエンドユーザーの間に立って、独自のアフターサービスにより製品の価値の維持・向上に取り組んでいます。そんな同社が2025年1月、オーディオの愛好家へ向けた専門ウェブサイトを開設しました。専門サイトを通して、経験豊富な匠の手による、これまでのメンテナンスの枠を超えた信頼のサービスを展開します。これに先だって同社はホームページのサイトリニューアルも実践しました。そこで、サイトの開設とリニューアルを先導された同社常務取締役の松尾洋氏を訪ね、それらの経緯や狙い、ご評価などを語っていただきました。
聞き手︓コミュニケーション・コンパス編集長
 瀬川弘司

「クラフテッド・オーディオ・サービス」というサービス名称を冠した修理・メンテナンスの専門サイトを開設されました。まず、その立ち上げに至る経緯をお聞かせください。

松尾氏想い入れのあるオーディオ機器をお持ちのお客さまは、ご自身の機器に対して大変深い愛着をお持ちです。こういう音を聴きたいからこの機器を選んだ、機器を生かすチューニングにも休日返上で取り組んだ、亡くなられたお父様愛用のものだったから他に代えがたいなど、それぞれ大切なストーリーが紡がれているのです。こうした愛用のオーディオはまさにプライスレス。だからこそ、不具合が生じてもできる限り手を尽くして使い続けたいと思っておられます。

オーディオ機器の修理は、これまでは販売店に持ち込まれることが多かったかと思います。修理自体は本来メーカーの仕事ですから、販売店に修理のノウハウがあるわけではありません。一部のメーカーさんではネットを活用して販売店を飛ばし、お客さまとのダイレクトな繋がりを強化しようとしています。ただし、アフターサービスでも製品のクオリティに相応しいサービス、そしてお客さまのこだわりに見合ったサービスを提供しないと、企業ブランドにかかわります。そうした顧客対応のためのコールセンターや全国的なサービス拠点の維持は容易なものではありません。実際、開発・設計部門の横で片手間にされていたり、顧客対応も紋切り型のごく事務的なレベルに留まっていたりするケースはよく見られました。

クラフテッド・オーディオ・サービス ティーエス・プロが開設したオーディオ修理・メンテナンスの専門サイト「クラフテッド・オーディオ・サービス

専門サイトはデザインをはじめ、高品質なサービスに向き合う自負と情熱が伝わってきます。

松尾氏私たちが目指すのは、日本中のお客さまの悩み事や相談事をきちんと聞いて、どんなブランドのどんなトラブルであっても必ず直します、そしてこの点もきっとお悩みのはずですから、こう修理してはいかがでしょうと言える、オーディオの信頼できる主治医のような立場です。そうしたやり取りを個人対個人で直接行うことで、的確な対応が可能になるだけでなく、アフターサービスの付加価値を高め、お客さまの感動を呼び起こすこともできるのです。そんなサービスの第一歩として、コミュニケーション・コンパスさんの協力をいただきBtoC向けのクラフテッド・オーディオ・サービスの専門サイトを開設しました。

松尾洋氏 ティーエス・プロ常務取締役の松尾洋氏

オーディオ愛好家の
顧客体験を大切に

オーディオが趣味のお客さま個人へ向けたサイトはBtoC事業の旗印でもあったのですね。社内の反応はいかがだったでしょうか。

松尾氏社内には相当の刺激になったようです。ティーエス・プロはもともとB2B事業が主体でオーディオだけでなく携帯電話や家電、理美容機器などのアフターサービスを手がけてきましたが、会社がケンウッドの流れを引いておりオーディオにかかわる技術には相当の人材と知見を持っています。先ほどこの事業所内をご覧に入れましたが、あれだけの数のベテラン技術者を抱える修理センターは他にはありません。メーカーサービスで長年知見を培ってきた技術者が揃っています。ただ、そういった価値は外からは見えなかったでしょう。

そこで、日本中で困っておられる数多くのお客さまと、絶対の技術を持っている自分たちを繋ぐ。これは、販売店にもメーカーにもできなかった新しいBtoCビジネスへの挑戦です。ただ、社内的には新規事業であるがゆえに、社員は「私たちの仕事って一体どういう仕事なんだ」としっくり来ていなかった面があったと思います。ところが、できあがったサイトを見て、皆が事業に対して「腹落ち」したように感じます。「うちの将来、なんだか明るいですね」と言ってくる者もいれば、「これからは自分たちで仕事を取ってくるんだ」と意気込む者もいます。第一、格好がいいですよ。デザインしてもらったロゴも社内で好評です。ロゴのRAWデータを頂戴し、お客さま向けの資料など他にも転用させてもらったほどです。

対外的な仕掛けはこれからですが、すでにうちのサービスを受けて感激されたお客さまがSNSでサイトのリンクを張ってくれたりしており、口コミが広がりつつあります。こちらも、開設したサイトをどう活用しようか戦術を練っているところです。

修理相談のお客さまを迎えるエントランス 修理相談のお客さまを迎えるエントランス

事業所を見学して感じましたが、会社のエントランスから修理相談エリアまでお客さま第一の思想が一貫しており、まさにサイトのイメージ通りです。

松尾氏そこはまさにこだわった点です。メーカーがアフターサービスを外部委託に切り替える流れはかなり前から始まっていますが、ブランド管理を含めて必ずしも外部委託が成功するとは限りません。現実に、日本のオーディオ市場の厳しい状況下で、委託先の企業の多くは残念ながらコスト優先で、顧客対応の質も従業員満足も後回しにしてきたきらいがあります。それが残念ながら、日本のオーディオのアフターサービスが辿った道のりでもあります。その中で、オーディオの愛好家が置き去りにされてきたのです。そこを私たちは変えていきます。

サイトのイメージ通りと言われるのは嬉しいですが、私としては実はサイトは控えめにしており、実際に足を運ばれたお客さまに喜んでいただく仕掛けを用意しています。じゅうたん敷きのエントランスに始まり、すぐにオーディオの試聴室を兼ねた相談受付エリアに案内されると皆さん驚かれます。スピーカー配置などチューニングにもこだわった試聴室です。不安顔で困りごとの相談に来たのに、リラックスして良い音楽を試聴された後は感動したと笑顔になって帰られます。これはすごいCX(顧客体験)だと思うのです。

アフターサービス企業としての
ブランド価値

ティーエス・プロさんはオーディオ修理専門サイトの立ち上げ以前に、会社のホームページも刷新されましたね。

松尾氏私たちは2002年設立以来、どこの資本にも属さない完全中立のアフターサービス会社としてスタートを切りました。扱う機器は当初の携帯電話から市場の変遷とともに家電やオーディオ機器へと移っていますが、ある時点から高付加価値製品へのシフトを始め、その方向性は今も続いています。会社の規模も市場での存在感も大きくなって、会社の目指す方向性やブランドをきちんと体現するホームページが必要だということで全面刷新することにしました。コミュニケーション・コンパスさんとの関係はそこから始まりましたから、本当にもう長いお付き合いになりますね。

リニューアルしたティーエス・プロのホームページ リニューアルしたティーエス・プロのホームページ

ホームページ刷新には、同時に私たちもアフターサービスにおける会社のブランド価値を一緒に上げていくのだという思いで取り組みました。お陰で会社のメッセージがきちんと伝わる、また格好良いイメージ通りのホームページができたと思います。大手メーカーさんからも問い合せをいただくようになり、まさに狙い通りの展開になっています。半面、中小規模のメーカーさんからは敷居が高くなってしまった印象があるようで、これも設計通りとは言えますが、スタートアップ企業からもエントリーしやすい会社の顔として、ホームページの在り方は継続的に考えていくものだと感じています。

丁寧なヒアリング、
日経出身者の情報量も安心

パートナーとして、弊社のどのような点を評価されましたか?

松尾氏まず大事なのは、私たちの会社の現在地と目指す方向をよく理解してくれているかどうか。そして、期待に応えるだけでなく、それを上回る提案をもらえるかどうか、ですね。実は一度、ホームページ刷新の前に、あるウェブ制作会社とお付き合いしたことがあったのですが、そのときは会社の狙いや伝えたい表現を理解してもらうために、当方が具体的なイメージやページ構成を考える必要がありました。コミュニケーション・コンパスさんに感心したのは、何より最初のヒアリングがすごくしっかりしているということでした。こちらが何を狙っているか、どのようなイメージで行きたいかなど、丁寧なヒアリングのためのインタビューがあって、これはさすがだなと。ホームページのデザイン案が何パターンも提案され、ページの構成案も的を射たものでした。それを見てまた新たなイメージが湧いてきて、本当に楽しいやり取りをさせてもらいました。

ホームページに必要な機能をワンストップで提供してもらえることもユニークな点だと思いました。完成後も定期的な分析レポートをもらって、PV(ページビュー)やUB(ユニークブラウザ)などの推移を見て、ホームページに対して客観的な手応えを得ることができました。数字の伸びが踊り場に来ても、また色々な提案をもらって手を打つというPDCAサイクルを回す実践経験は今も役に立っています。SEO対策もしっかりやってもらい、キーワード検索の結果表示も比較的上位にランクされるようになって、ホームページの存在感がかなり上がりました。

松尾洋氏

弊社のここがユニークとお感じになったこともあったでしょうか?

松尾氏コミュニケーション・コンパスさんの社内に日経の出身者が多いことも提供される情報量の点で、他とすごく違うなと感じます。時代のトレンドを把握しているし、何を聞いても必ず期待を上回り説得力のある提案が返ってきます。また一方で、ホームページにお金をかけないと駄目だというようなことは一切言わずに、少額からでもできますよ、結果を見ながら次の投資を考えていきましょうというスタンスで、身の丈に合った提案を色々してもらっています。プロジェクトが終わるまで同じ担当者がきっちり面倒を見てくれる体制も安心です。そういった相手の立場に立って伴走してくれる姿勢も、長いお付き合いにいたっている背景にある気がします。

今後の展望をお話しください。

松尾氏オーディオのメンテナンス専門サイトを立ち上げたのはゴールではなく、事業のスタートに過ぎません。これを機に色々と手を掛けていこうと思います。将来へ向けて課題があるとすれば技術者不足の問題、とくに若い技術者の確保が大きな課題です。オーディオの世界もどんどん新しい波が来ていますし、業界も変化しています。シニアのベテラン技術者の技術伝承と若い力が是非とも必要です。

人間の五感を刺激するフィールドは、お金と時間をかける対象として今後も無くなることはないはずです。とにかくスタートは切りました。専門サイトを見て、オーディオの愛好家に加え、新しい時代へ向けて一緒に挑戦してくれる仲間が集まってくれることを期待しています。コミュニケーション・コンパスさんには今後もさまざまな場面で知恵を貸していただきたいと思います。

本日はありがとうございました。

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